2003-01-01から1年間の記事一覧

ぼくたちはいつだって、厳密なルールに従って生きている。「『ノルウェイの森』を読んだ者は、信用できない人間である」、ぼくはきっぱりはっきり告げた。「ねえ、だけど、いちどそうしてしまったら、それはもう、払拭できないのかな?」と彼は訊いた。「で…

そして、ひとつの引用について。 http://flurry.hp.infoseek.co.jp/200311.html#10_4 ねえ、どうして、と、ぼくはささやき声を大声でどなろう。ねえ、どうして、泣けてしまうの? この問いかけは、ひどく意地悪く聞こえるかもしれない。けれども、ぼくには純…

id:flurry 氏の日記を読んで思ったこと。とりあえず並べられた引用に、とりあえず言葉を続けていく。 http://flurry.hp.infoseek.co.jp/200311.html#14_2 http://flurry.hp.infoseek.co.jp/200311.html#14_4 http://flurry.hp.infoseek.co.jp/200311.html#14…

「純文学を読んでいたらモテるのか?」難しい問題だ。とても、難しい問題だ。結論から言おう。モテるための努力として、それは適応的な行動ではない。それよりもテニスがうまくなって、手取り脚取り女のコに教えるほうが合目的だ。もしも、純文学を読むので…

血のしたたるステーキを食べながら、右手に持ったナイフをくるくる回して、隣のテーブルをちらりと見て、ぼくたちは圧し殺した声で話した。「日本人形みたいでかわいいよね」「うん、そんな感じ。で、ブルドッグみたいでかわいい?」「うん、かわいいかわい…

オッケー、マイフレンズ、たぶん、二十二日。またしても、あの場所で。別になにかを見つけたいわけじゃないよ。ただすこし話をしてみたいだけ。ぼくはまた、かわいい真ッ赤なカバンを抱えていくよ。相応に歳を取った(はずの)きみたちに今一度出会うため、…

春にミキタ(id:omo)氏にお会いしたとき、酔っぱらったぼくは、クラブの喧騒のなか、「少女になりたかったんです」と叫んだ。叫ばれたほうも困惑しただろうと思う。なにしろ、ほとんど初対面に近かったのだ。ぼくたちは arai 氏に連れられて出かけた新宿二…

有休を取って、放りっぱなしだった雑用をかたづける。洗濯機をまわしながら掃除機をかけていると、同居人が帰ってくる。ぼくが口を開く前に、彼は「風邪を引いた」と告げて、煎餅布団に倒れこんだ。ぼくは掃除機を片づけ、彼に具合を訊いた。弱々しい咳がそ…

ベンチャーキャピタルの人間と話をしながら考えたこと。現実が殴りつけてきたら、選択肢はいくつかある。 もっと強い現実で殴りかえす。 もっと強い虚構で殴りかえす。 殴られたままでいる。 殴られる前に逃げる。 にやにや嗤う。 にやにや嗤うのにはもう厭…

ぼくは教科書に隠した文庫本を読みながら、神父様の話を聞いていた。ペルーでもっとも有名な家のひとつに生まれ、大学で数学を修め、神学校に行って神父になったそのひとは、ぼくの通っていた高校で技術の教師をしていた。神父様は、自由さについて話をして…

家出していた同居人がちらりと顔を見せた。ひとことふたこと、言葉をかわす。始発の電車で彼はまた旅だっていった。ぼくは顎を引き、片眉を歪ませて、彼を見送った。

くだんの雑誌を購入。『メタフィジカル・マルチまがい』滝本竜彦。あらかじめ失われているものを、ぼくたちはどうして失いつづけなければならないんだろう。それにしても、このタイトルはいいね。とてもいい。

雨がやんだ後の冷たくやさしい空気がぼくを包んだ。こんな時間に電話する相手はなく、しかたないから同じフロアの顔見知りとしばし話をする。

冷たい雨が降っているから、仕事場ですごす日曜日のはじまり。珈琲豆が切れたので、ティーパックの紅茶をすすりながら。ひびわれた唇にしみこんでいくダージリンの匂い。ひびわれていたのは、もしかしたらくちびるだけではないのかもしれない。

選択を迫られたときに、「○○でいい」ではなく、「○○がいい」と応えるように教えたのは母だった。それは、母の二番めの教えだった(一番めの教えは、「上着は壁のハンガーではなく、椅子の背にかけておきなさい。いつでも亡命できるように」)。ぼくが生まれ…

イデオローグは中島みゆきを聴くものだ。悪いイデオローグは特に。他意はない。 幸せになる道には二つある 一つめは願いごとうまく叶うこと幸せになる道には二つある もう一つは願いなんか捨ててしまうことせんないね せんないね どちらもぜいたくねせんない…

滝本竜彦オンリー本『ゲーム脳』

新月お茶の会は、明日11月16日(日)のコミティア66に、本誌月猫通りの別冊として、滝本竜彦オンリー本『ゲーム脳』を出展します。→情報

ぼくのストロングスタイルは、永遠と無限の破れ目から生まれた。彼女たちが「あたしが欲しいのはこれじゃないの」と告げたならば、ぼくは「じゃあ、きみにはあげない」と微笑んだ。あるいは、曖昧にグローバリズムを行使する彼女たちに、ぼくはより苛烈なる…

「きみでいい」と誠実な男のコは言う。「きみがいい」と誠実でない男のコは言う。誠実さをなじられるとき、ぼくは決まってそのことを思いだす。

仕事の締切が日曜の朝であることが判明。締切を延ばして延ばせないことはないのだけれど。逆に、締切を守れば、コミティアに行くことも可能。

咽喉の奥にはりついた渇き。水分が足りないわけではなく、弛緩しない神経はただただ疾走を求める。無軌道な欲求を飼い馴らし、方向を指し示す。無限運動。

ツインふきでもの(旧姓にきび)発生。煙草で相殺されていくビタミンC。

だけど、ぼくの物欲は、差異への欲求をともなっていて、それが本当の本当にコミットメントなのかはよく判らない。気分転換に、清肌晶で遊ぶ。

多忙につき、土日は仕事場に缶詰の予定。物欲だけがつのる。三大欲求は減退して、今のぼくは、きっと、本当の意味で資本主義に過剰にコミットできるだろう。

口内炎のせいで、煙草が喫いずらい。寝不足と栄養不足のせいなのか、慢性的な肩こりのせいなのか。気休めにビタミン錠をばらばらと口に放りこむ。

「バブル期にいい気になっていた年長世代」って、いま三〇代くらいのおばかなひとびとのことかしらん。

エレクトロニカってひとくくりにしたせいで、こぼれおちていくものがあるとしたら。癒し系クラブミュージックを聴きながら、ぼくは PowerBook G4 のキーボードを叩きつづける。新品のリラックスパイポを取り出してくわえる。眼を閉じ、深く息を吸い、しかし…

いきかうひとの群れをながめながら、ぼくは朝一杯めの珈琲を口にする。忘れていた。ニコチンとメンソールも、たらふく摂取している。いきかうひとの群れは、規則正しく建物のなかに消えていく。ぼくは二杯めの珈琲のために席を立ち、主義に反して砂糖とミル…

「個人的な戦略としては、革命家になるよりも、資本家になるために努力するほうが楽なんですよ」と彼は言った。一年以上、前の話だ。「判ってる。そんなことは重々承知だ。だからこそ、ぼくは、」とぼくは言った。けれども、続いていく言葉を口にしなかった…

銭湯帰り、工事現場の脇を通りすぎる。後輩が「太郎」とつぶやいた。交通整理の人形がニンジンを振っていた。もうすこし寒くなったら、太郎にマフラーを巻いてあげたいとぼくは思った。