選択を迫られたときに、「○○でいい」ではなく、「○○がいい」と応えるように教えたのは母だった。それは、母の二番めの教えだった(一番めの教えは、「上着は壁のハンガーではなく、椅子の背にかけておきなさい。いつでも亡命できるように」)。ぼくが生まれた場所では、誠実さはなかなか尊ばれることがなかった。