有休を取って、放りっぱなしだった雑用をかたづける。洗濯機をまわしながら掃除機をかけていると、同居人が帰ってくる。ぼくが口を開く前に、彼は「風邪を引いた」と告げて、煎餅布団に倒れこんだ。ぼくは掃除機を片づけ、彼に具合を訊いた。弱々しい咳がそれに応え、ぼくは「答えなくていい」と手を振った。「お大事に」と告げて、ぼくは部屋を出て、煙草をくわえた。それから、桃の缶詰とパイナップルの缶詰はどちらが良いか考えあぐねた。