ぼくたちはいつだって、厳密なルールに従って生きている。「『ノルウェイの森』を読んだ者は、信用できない人間である」、ぼくはきっぱりはっきり告げた。「ねえ、だけど、いちどそうしてしまったら、それはもう、払拭できないのかな?」と彼は訊いた。「できないさ。一生、十字架を背負って生きていくしかない」とぼくは答えた。しかしもしも信用を取り戻すことが可能だとしたら、ぼくたちはいったいどのようにしてそれをできるのだろう。