[文学フリマとあんまり関係なくなってきた] 通過者たちの文体 (4)

 下北沢の居心地の良いカフェで、居心地の悪い椅子に座り、昼間からカールスバーグをあおる。
 見回すと、客のほとんどが女性だ。
 カフェどころではない。バァに入ったって、この街じゃ似たようなものだ。「あたし、酔っちゃったァ」と嬌声が響いて、どうして悪酔いせずにいられるだろう。いやいや、出る酒だって焼酎か泡盛か目薬入りのフローズン・マルガリータだ。そりゃあ、ぼくだってキューバ・リブレしか頼まなくなろうってもんだ。
 だから、ぼくたちは、二丁目のメンオンリーのバァに逃げこむ。
 葉巻を喫い、酒を呑むために。
 しかし、このカフェの居心地の良さを、店員が美人だってところに求めているあたり、ぼくに救いはないのだ。