どれもこれもがサブカルになったのは、どうしたって大塚英志のせいだ。『摩陀羅天使篇』がどういう物語だったか忘れたとは言わせない。高校教師として登場する兵頭沙門は、偽史と過激派教本で子供たちを爆弾闘争に駆りたてていった(こんな話をジュヴナイル小説として売るなんてどうかしてる)。俺が大塚英志の本を残らず読んだのはつまり、そういうわけだった。好意的に解釈すれば、七〇年代の尻尾をひきずって港街をうろついていた俺が、もはやすたれてしまったアングラではなく、サブカルのふりをできるようになったのも大塚英志のおかげというわけだ。別にありがたくもなんともないが。