曙光はいまだ遠く、幾重にも反射した街燈に薄暗い部屋。ぼくはローズマリーのキャンドルに火をつける。服のすそがかすかにマウスに触れると、沈黙していた PowerBook G4 がかすかにうなりをあげて動きはじめる。iCal を確認するまでもなかった。ひさしぶりの(iCal によれば六週間ぶりの)予定のない日曜日だった。苦労してタイを結ぶ必要はなかった。それどころか、ワックスで髪を立てる必要すらなかった。今日はなにをしよう。そんなことを考えながら、ぼくはキャンドルの火のゆらめきを眺めつづけた。