こごえる指先で傘の柄をにぎりしめた。くわえた煙草の先の灰がいつしか長くなり、風に吹かれて川面に落ちた。花びらは、もうすべて流されてしまっていた。昨日の夜は、水面が桜色に染めあげられていたというのに。水にたゆたい流される桜の花はいったいどこにたどりつくのだろう。きみとくだったあの川まで、東京湾の入り口まで流れていくのだろうか。