まだまだブックマークについて考えている。手がかりのひとつは Finder のサイドバーにある。ユーザはサイドバーに、良く使う項目を《フラット》に並べる。つまり、項目を階層化することができない。すなわちユーザは、階層化の自由をあらかじめ奪われている(たとえば、Internet ExplorerMozilla のサイドバーにブックマークを表示させたときと比べてみて欲しい)。それじゃあ、奪われたものの代償はいったいなんだ? それは、《ホットスポット》と《コールドスポット》を、ユーザが意識的に切り分けさせられるってことじゃないかと思う。この要請は、まったく逆説的な論理から導かれる。ブックマークが階層化しなければならなかった理由のひとつは、人間がいっぺんに認識できるアイテムの個数がそれほど多くないからだ(と言われている)。だから、カテゴリ分けを行い、アイテムの個数が増えても人間が対応できるようにした。じゃあ、階層化を禁止したら人間はどうするんだろう。アイテムの個数が増えていったら、そのうち訳判んなくなって破綻する。破綻を回避するには、アイテムの個数を減らさなければならない。今やってる仕事で使うアイテムを残し、ほかのアイテムはゴミ箱に放りこまなきゃなんない。そうすると、今まさに作業していてどんどん変わっていく部分=ホットスポットがサイドバーに生き残り、ずいぶん昔に作業してときどき見返す程度の部分=コールドスポットはサイドバーから追い出される。頻繁にアクセスするところに早くたどりつければ、時折しかアクセスしないところに行くのに時間がかかったって全体的な効率はそんなに低下しない。同じことを《自動的》にやろうという試みはあった(Windows のスタートメニューとかね)。だけど、なかなかうまくいかないんだ。俺たちのやっている仕事は日々変わっていくもので、ホットスポットはけっこう短い時間で移り変わっていくものだから。