ふと、hip-hop の系譜を調べたりしたのは、あいかわらず lyric に惹かれてしまう俺の文章のルーツに思いをはせたから。

初めは本棚にきっちり並べられていた文学全集は、レゴブロックといっしょに仔供部屋にぶちまけられ、かたづけられることがなかった。俺はバルガス=ジョサを枕にお昼寝するクソガキだった。たぶん、集英社の全集に入っていた『ラ・カテドラルでの対話』だったはずだ。

それからいくらか歳を取って、大衆小説を読むようになった。たとえば探偵が出てくる小説で、なかでも硬い探偵が出てくる小説だった。それはとても恥ずかしいことだったので、ジョイスで割ることにした。一対一で割って、オリーブをつけるとちょうど良かった。