昼下がりの陽光を見つめていた。木漏れ陽が美しいものだと、あらためて気づいたのはいつのことだったか。仔供のころ、きらきらと輝く森のなか、下生えをかきわけて走りまわった。冬眠した熊の、あるいは太陽(と流れる水)に怯える吸血鬼の生活を送るようになり、いつかそれに厭きて明るい場所をよろばうようになった。明るい場所のひとの群れはきらきらしていていけすかなかったけれど、木漏れ陽はかわらず美しかった。