渋谷の街に若者が群れていた。たばこに火をつけ、三度、深く吸って吐いた。ハチ公前に喫煙スペースが整備されていた。春先に工事していたのはこれのためだったのかと、今更に気づいた。若者がプラカードを掲げて、駅前を行進していた。言うまでもなくどこぞの大学のサークルの新歓だった。言うまでもなく右寄りのサークルだった(オールドタイプの価値=市場を再生産するための互助組織という意味で)。

喉に四度目のメンソールがからんだ。煙草を吸い殻入れに放り、俺は横断歩道を渡った。傘を買うことが目的だった。ポスト☆ノアの大洪水の世界で生きるために、かわいい傘は不可欠なものに違いない。そうじゃない?