広義のブックマーク(ウェブブラウザのそれに限らず、「最近使ったファイル」やシンボリックリンクも含めたい)というものについて考えている。

その昔、俺たちが Mosaic から Netscape Navigator に乗り換えたころ、ブックマークは HTML で管理されていて、みんなそれを公開していた。いやいや、そうではない。誰も彼も、ホームページとやらを作らなければならないという強迫観念に駆られていて(なぜって、そうしなきゃ単位が来なかったもんだから)、ブックマークはいちばん手頃なコンテンツだった。あのころの俺たちはいくつもの間違いを犯したし、間違いは真夜中の俺たちを今でも苦しめるけど、ブックマークにまつわる間違いなんて、そのなかでも瑣末なものだったと思えないわけじゃない。

ちゃんと歴史に当たっていないから、オールドスタイルなブックマークがツリー構造を持つものだとされてしまった理由は知らない。グラフ構造の部分集合でしかない概念で、なんでウェブをブックマークできるんだ、という指摘があったことは憶えている。しかし、まあ、それほど問題はなかった。俺たちは、そんなにたくさんの見るべきものをウェブに発見していなかったし(そうさ、だって、珈琲を入れる様子を眺めてたんだぜ)、それよりはハックしたり、女のコにメールを書いたりすることに一生懸命だった。

話がそれすぎた。俺は、望む場所にできるだけすぐさま辿りつくための装置としてのブックマークについて考えている。その目的を達成することに、オールドスタイルなブックマークは失敗した。それはなぜだろう。たぶん、いくつもの理由がある。最近の MacOS のインタフェースを例に、それについて考えてみよう。