下北沢の定食屋を出て、俺たちは掌を打ちあわせた。「じゃあな」と俺は言った。奴は「じゃあな」と告げ、俺たちは別れた。俺は坂をくだっていった。緑のレザーのジャケットを着たお姐さんが歩いていて、ジャケットの緑色があんまりかっこよかったので、つい声をかけた。このジャケットは母からもらったものだと説明し、彼女は小走りに駆けさった。ぼくは溜息をつき、かっこいいジャケットをどうしたら手に入れられるか考えつづけた。