代々木上原の銭湯は、入り口がコインランドリーになっていて、天井につりさがった電飾が俺たちがかくあるべしと望んだ場末っぽさを演出していた。銭湯のあるブロックだけが取り残されていた。まわりのブロックには区画あたり平均ふたつのオシャレカフェが存在するというのに、そのブロックだけはなぜかトタンが目立った。けれども、それはとても愛しかった。

抱きしめたいくらいに。