俺たちは歴史の堆積のうえに生きている。なのに、俺は、そのことにどうにも無知だ。俺は物語のうえに生きていて、歴史のうえに正しく生きていないらしい。そんなことを告げられた。ガラスの向こうをビル風が吹きぬけていった。木枯らしがダーティ松本の描くバレリーナのように踊った。山岸涼子の描くバレリーナのように踊ればいいのに、と、俺は考えた。