ブランドで思い出したんだけど、ぼくが女性向けのファッション雑誌を読むのは、ぼくがオリーブ少年だったからじゃない。一分の嘘もなく、本気の本気、差異の闘争を斗うためだ。それだったら、男性向けのファッション雑誌を読めばいいじゃない。いやはや、まったくその通り。しかし、まあ、その類も読んではいる。それどころか、最近など『SPA!』を購読しようか悩んでいるほどだ。来年には『DIME』を読んでいるかもしれない。本気かよ、おい。

差異の闘争って、実際にはどんなんだろう? とっても簡単、とっても単純、あれとこれの違いを認識し、こことそこの違いの文法に従って生存する行為のこと。たとえば、街を行く女のコが持っているバッグのブランドを無意識にチェックしたり、脚を見てるふりをして靴をチェックしたり。そんなことのためにわざわざお勉強しちゃうのはぼくの病だけど、ポスト☆ノアの大洪水の世界を生きのびるためには必要だったんだ。

ぼくの病っていうのは、トライブを横断しつづけようという意志、あの日すえてしまった肚のことだ。根っから根無草、三代続いた根無草だから、すえた肚はもうどうしようもなく、変わりようもない。とはいえ、本来は属するトライブを持ち、隣のトライブとの距離を測るための道具として、差異の識別のやりかたを自然に身に付けていくはずだ。そんな自然さは本当に羨ましいと思う。そうできなかった以上、お勉強しなきゃなんなかったのは、ごく当然なんだろう。

これは、グローバリズムに対するパフォーマちヴなアクトだよ。莫迦みたいだけど。っていうか、莫迦そのもの。