『悪趣味の探求 Bad Design / Bad Taste』

南青山に秘宝館出現という噂を聞きつけて、へこへこ出かけていったわけであるが、セッションが終わった後、結局、秘宝館には行かずに渋谷までぶらぶら歩いてしまった(別に円山町に行ったわけじゃないよ)。それは、そう、なんというか、やつらと同じ穴の狢だった。無駄にかっこつけようとなんか、するべきではなかった。反省した俺は駅で別れ、かつて通っていたキャンパスまで歩いていき、学生会館で石田衣良を読んだ。

さて、セッションは、たとえば、ラブホテルの内装の写真を見せて、これってすごいインスタレーションでしょ、現代美術館にあったらアートだよね、と、デザイナーのたまごたちをアジるという、たいへん愉快なものだった。愉快でないのは、彼我で笑いのつぼが異なるところだった。素人さんががんばって作りだしたであろう珍妙な意匠を(確かにおもしろいのだけれど)、デザイナーのたまごたちは笑うのだった。俺はむしろ、バブル以前とか以降とか、都市と郊外と田舎とか、そういうことを考えて哀しくなってしまうのだ。一歩間違えたら、いや間違えなくとも、俺の作った/作るものはあんなふうに笑われてしまうのではないかとおびえてしまうのだ(この病については、また違うときに話そう)。逆に、無意味に安全なSM用の吊り具のところでは笑いが少ないのだ。そもそもSMって、いや、ほかのフェティシズムを含めてもいいんだけど、そういうところがおもしろいんでしょ、と思ってしまうのだ。いや、横に座っているお姐さんが全然笑っていなかったので、思っただけで口には出さなかったんだけど。

明日こそ、明日こそ、秘宝館に行こう。ひとりで、こっそりと。