新しい仕事場には食堂があって、そこでは安い昼食を食べられる。だけど、この歳になって、二三〇円のカレーライスを食べるわけにはいかなかった。だって、白米に涙したあの日の俺はどこにもいない。カップラーメンを食べつづけた過去は、もうなかったことにしてしまった。

だけど、ランチの後の珈琲を呑みながら、やっぱり変わらないものが奥のほうにあることを確認するんだ。