オシャレカフェでカレー雑炊を食べながら、莫迦話をする暇くらいはあった。路地の先のバァに行く時間はなかった。

目前に迫った仕事場の引越のせいで、休日が潰れたというのは嘘じゃない。引越だからって仕事の量が減るわけなんかなくて、雑用が果てなく増殖していく。ひとつずつ片づけながら、掃除と荷造りを進める。捨てたはずの過去が抽斗の奥から見つかると、そのたびに俺は手を休め、椅子に深く腰かけて深呼吸する羽目になった。