携帯をなくしたまま、ぼんやりと大晦日をやりすごしていたけれど、世界から切り離されたりはしなかった。十分の一の十乗パーセクくらいはジャンプしたけど、交叉時点まではまだまだ遠かった。管楽器が吐き出した音が股間を直撃して、ちょっと前かがみになりながら朝を迎えた。店を出ると、原宿の息は白くぼんやりとしていた。