ぼーっと、ずーっと、通りすがるひとびとの眉と靴だけを見ていた。『脱オタクファッションガイド』はちゃんとカウンターになっているんだということが、そうしてようやく判った。それから考えた。ヴィトンのでっかいバッグを彼氏に持たせ、買った同人誌を片端からそこに放りこんで、つかつかとヒールで行進するような女を見たいと。そんな女が存在しないはずがないのだから。