あのころのボクたちは女のコを口説くために、『今夜はブギーバック』のラップを練習したり、チャゲ&飛鳥チャゲのパートを練習したりしていた。喧騒のなかで女のコの耳元にささやく言葉を覚え、どのカクテルがキツくてどのカクテルがヤワいかを覚えた。酒を呑んでいると、唐突にそんなことを思い出してしまう。あれは九〇年代の前半だった。